ヴェグラス ドットコム

トップページ > ヴェグラスコラム

【第一回】 回想~日本芝~

植物は種子が発芽した位置に根を下ろすので、動物のように好き勝手に移動することはできない。だから、自分の体を環境に適合させるより、生存を図る手段はないのである。芝草は恐竜時代よりも早く出現した可能性が高い。繰り返しやってきた氷河期と間氷期の激しい天候の変化や、恐竜など動物の食害に耐えて生き残り、進化してきたのだろう。

その生き残りのひとつ、日本芝(ゾイシアグラス)は、北海道から沖縄県までの海岸域から高地の至る所に見られる植物だ。呼吸量が少なく、酸素配給量の多い植物として知られている。冬になり、気温と日照時間が低下して光合成機能が落ちてくると、枯れこんで過呼吸を防ぐ。そして、夏の高温と多日照条件下では多量の酸素を供給する。一方で、動物に好ましくない重金属や放射性物質の抱合にも貢献している。その秘密は単位面積当たりの葉面積総数と、多くの地下茎を有することにありそうだ。このように考えると、日本芝こそ、我が国にもっとも相応しいC4植物ではないだろうか。

公益財団法人 日本植物調節剤研究協会 永江繁政