ヴェグラス ドットコム

トップページ > 芝生病害図鑑 > ピシウム病

ピシウム病

芝草種:日本シバ、ベントグラス
学 名:Pythium periplocum Drechsler(日本シバ)
    Pythium graminicola Subramanian(日本シバ、ベントグラス)
    Pythium vanterpoolii V. et H. Kouyeas(日本シバ、ベントグラス)
英 名:Pythium blight
別 名:綿腐病、ピシウム性春はげ症、不揃い症、ピシウムブライト
備 考:冬期間にFusarium avenaceumMicrodochium nivale(F. nivale)による被害パッチに、
    春先にP. graminicolaP. vanterpooliiが重複感染すると大型パッチとなる。
    この症状は春はげ症と呼ばれている。

P.periplocumによるピシウム病
芝草種:日本シバ

病徴

日本シバ(コウライグリーン)に発生する。
6月中・下旬から7月の梅雨末期までに茎の基部が軟化、腐敗する。
芝地では、グリーン部分が黄化・褐変し、不定形の数cm²のパッチが生じる。
パッチの周辺部と健全部の境界は不明瞭である。
病徴は高温時に顕著になる。

発生生態

Pythium periplocumによる本病の発生には季節性があり、主に6〜9月に発生する。
本病原菌の生育適温は25°Cであるが、30°Cでも生育する。
夏期の高温で、多雨時あるいは過湿条件下で発生しやすい。
シバの生育が衰弱した状況で発生しやすい。

防除

1)排水を良好にする。
2)管理に留意し、健全なシバの育成に努める。

ベントグリーン上のピシウムブライト不定形状のパッチ
ベントグリーン上のピシウムブライト不定形状のパッチ[荒木 原図]

P.graminicolaとP.vanterpooliiによるピシウム病(日本シバ:ピシウム性春はげ症)
芝草種:日本シバ
本病は、秋期にFusarium 属菌が感染し、春Pythium 属菌が重複感染することによりひきおこされる。
日本シバ(コウライシバ)では葉腐病(ラージパッチ)とともに重要な病害である。

病徴

はじめ、新芽の基部が軟化し、次第に茎葉とともに褐変・枯死する。
パッチは淡褐色ないし茶褐色で、小円形の10〜30cm²としてあらわれ、年々拡大し数m²の不定形を呈し、5月中下旬には芽数が減少し、土が露出する。
生じたパッチと健全部との境界は明瞭である。
葉組織のアントシアンが多くなるのが特徴である。

発生生態

西南暖地では萌芽期の3月中旬頃から発生はじめ、7月下旬の梅雨明けには自然治癒する。
特定のグリーンの限られた箇所に発生する。
発生箇所は例年同じで、形状も変わらない。
土壌の透水性不良は発病を助長する。
未分解有機物のリグニンが誘因といわれる。

日本シバのピシウム病(Pythium graminicolaとP. vanterpooliiによる) の発生消長と防除
日本シバのピシウム病(Pythium graminicolaP. vanterpoolii による)
の発生消長と防除[谷・荒木 原図]

防除

1)発生シバは取り去り、別の系統のシバを張り替える。
2)透水性を良くし、サッチを除去する。
3)施肥管理に留意し、春季のシバの生育を旺盛にする。

P.graminicolaとP.vanterpooliiによるピシウム病(ピシウムブライト)
芝草種:ベントグラス
ベンドグラスに対するP. graminicola の病原力は、15〜30℃で強く、P. vanterpoolii は、10〜15℃で最も強い。
病原菌の分離結果と季節的消長から推察して、冷涼期にはP. vanterpooliiP. graminicola が関与し、高温期にはP. graminicola が関与していると考えられている。
なお、高温期、豪雨直後の子苗ターフに新たにP.aristorum の関与が報告されている。

病徴

冷涼期の本病は3月中・下旬から発生しはじめ、直径4〜5cmから10〜50cmの大小さまざまな淡褐色のパッチを生じる。
パッチの周縁部は、2〜3cmの黒褐色帯が明瞭となる。
病勢が進展すると、パッチは融合し、4月中旬以降には地上部が消失し、地下茎も枯死して裸地状態となる。
7月中・下旬には、パッチの残存部あるいは健全周辺部からシバのランナーが生育しはじめ、8月には自然に治癒する。

高温期の本病は盛夏、豪雨後のベントグリーンに発生する。
はじめパッチは20〜30cmの淡褐色円型であるが、融合して100m²以上の不整型におよぶこともあり、ときに裸地化する場合もある。

発生生態

特定の同じ場所に発生し、形状もほぼ同じである。
降雨後に激発することがある。
子苗期のターフに発生しやすい。
雨水がターフに1〜2週間滞留すると、急激にパッチが発生する。

ベントグラスのピシウム病(Pythium graminicolaとP. vanterpooliiによる) の発生消長と防除
ベントグラスのピシウム病(Pythium graminicolaP. vanterpoolii による)
の発生消長と防除[谷・荒木 原図]

防除

1)床土の透水性を良好にする。
2)前年夏期から休眠期まで適切に施肥管理し、健全なシバとする。
3)サッチを除去する。
4)未熟有機質資材の施用をひかえる。